2006年3月26日 (日)

脳シリーズ5 子ども達に「少年期・ギャングエイジ時代」を復活させよう!

  教師達は、子どもが
「他人に言葉の暴力をつかったり、いやなことから逃げようとする。困難なことに立ち向かったり、乗り越えようとする力がない」
と感じている。学校ではこういう現象が蔓延している。

  ここで前頭葉の働きを思い出してほしい。子どもは「脳を発達させてくれ」とメッセージを送っているのだ。暴言、やる気のなさという態度は意見表明なのだ。まず子ども目線で見てほしい。子どもの暴言に耳を傾けよう。そこに鬱屈した気持ちがあるに違いない。聴いてもらうのも子どもの権利なのだ。それに寄り添うことによって彼の成長の課題をつかめるように育てていこう。困難なことから逃げようとする子に寄り添ってやろう。一緒に考え自分ができることを考えさせよう。がんばれる課題を見つけてやるのが教師の仕事だ。受け止められて、安心の人間関係のなかで子どもは発達するのである。

  自分が受け取れられてこそ自分をみつめ、脳は発達するのである。ただうなずいてもらえる甘えだけで、人間は成長しようと思うのである。このような甘えは脳の栄養なのだ。脳は心である。
  また脳が発達する子ども集団を教師は組織しよう。正木先生の講演の中に「じゃれつき遊び」を取り入れると子ども達は生き生きをしてきたという実践が報告されていた。学校に「戯れ遊び」や「ギャングエイジ時代」を復活させよう。

  私は現役の時、子ども達に小学校低学年で「昔遊び」を実践してきた。また高学年では「学級遊びの時間」をつくり、自分達が考えて遊ぶ時間をつくってきた。つまり管理されないで遊ぶことを学ばせてきた。しかし今の子どもは人間としての基本である言葉を伝えることさえ身につけてないのである。だから遊びのなかで生まれるトラブルは自分達で解決できない状態だ。そこで、子ども間のトラブルを大事にしてきた。教師はトラブルに丁寧につきあい、学級集団で何回も話し合いをして、子ども達どうしの納得と合意をつくらせ、時には提案し育ててきた。そこで初めて友達の気持があることを知ることもある。気が遠くなるほど大変な作業である。しかし、大人から拘束されない子どもだけの遊び集団少年期(ギャングエイジ)の復活を意識しない限り、今の子どもの脳は育たない。長い話でしたが、子どもへの参考になれば幸いです。K子
【参考文献】
チックする子にはわけがある  日本トゥレット(チック)協会編  大月書店
どの子ものびる脳の不思議  高田明和著  かもがわ出版
心を生み出す遺伝子  ゲアリー・マーカス著大隈典子訳  岩波書店
脳を育て、夢をかなえる  川島隆太著  くもん出版?

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2006年3月22日 (水)

脳シリーズ4  男脳とコミュニケーション力発達不全と少年事件

  さて、脳の発達不全は女子にも考えられる。それがなぜ男子に凶悪な犯罪となってしまうのか。そこで胎内でつくられた「雄としての攻撃的、活発性な男の子の脳」が関係していると私は考える。胎内で得た「雄としての脳」の少年が、誕生の後「人づきあい」の能力、共感や情感を発達する機会に恵まれないで、少年期になっていたとしたらどうだろうか。

  ちょうど受験の重圧と重なる年代である。また自立の要求が生まれる年代ででもある。当然人間として不安や重圧感が蓄積し、苛立ち、むかつくものだ。ところが子ども達は「勉強ができ、大人のいうことをきく、いつも明るく素直で思いやりのある子」を演じていなければならない。親も学校も社会もまたそれを要求する。本音を吐き出せる場はない。過度の競争と選別への不安と抑圧感などがストレスとなり、心の傷を持ちながら、孤独に重圧感として蓄積される。そしていろいろな偶然が重なった男の子の脳が外への攻撃性となった時、事件となってしまうのでないか。

  大人達はその事件の凶暴さに驚く。彼らの結果への想像力のなさは、前頭葉の未発達から考えると当然であろう。またビデオやテレビゲームの影響をうけ、嫌なことを暴力や抹殺することしかインプットされていないのでないか。人間としての芯であるコミュニケーションをとる力や共感や情感を彼らが持たないのは、気持ちを受け止められた実感がないから、悩みを伝えようと言う意思さえ育っていないのでないか。事件の新聞記事を読んでいると共感性の障害など言われているが、大人を信頼する、友達や大人に相談するという発想を持たないから事件になってしまったのでないか。「命や思いやりの授業」や厳罰や管理ではなく、成長の過程のどこかで本音に気づき、受け止めてやる大人や友達との出会いがあれば、脳を発達させ、事件は防ぐことができるのでないかと思う。いつだって脳は育てることによって回復できる。脳は柔軟なのである。

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2006年3月19日 (日)

脳シリーズ3 環境と子育てが「人づきあいを活発にする脳内物資」を抑えてる?

 次に戦後60年の環境の変化が、胎内で獲得した男の子の脳にどう影響したのだろうか、凶悪な事件とどう関係あるのかを考えたい。

 人間の体はうまくできている。ある時期に一定の物質が出る。わかりやすいのが第2次性徴だ。その時期になるとホルモンが出て体が男らしく女らしく成長を遂げる。脳もそうだ。脳を成長させるための物資が適当な時に出るのだ。だから通常なら「ブレーキもアクセルも効かない幼児」から「アクセルだらけの少年期」にギャングエイジを経験して、嵐のような苦悩の思春期を迎え「アクセルもブレーキも効くことを覚え」自立した大人の脳になる。昔の日本の子や20年前の中国はそうだった。ところが済成長を遂げた中国も日本と同じになってきている。経済成長の生活環境の変化が、特に雄たる男の子の脳の成長にともなう脳内物資の出現に異変を起こしたことは確かだ。

 そこで、脳の前頭前野発達過程を見てみよう。ブレーキもアクセルも効かない幼児の脳は、「ドーパミン神経系」が活性している。そこからはドーパミンという物資が出ている。ドーパミン神経系は大脳基底核にあり、そこには運動系と社会性に関係する非運動系がある。ドーパミン神経系は対人関係のためにセットされた神経系ででもある。それによって乳幼児達が環境に5感を通して積極的に働きかけ、運動能力や人間としての感情や情感、感性などを獲得する。つまり人間としての芯であるコミュニケーションをとる力や共感や情感が育っていくのだ。「三つ子の魂百まで」と言われるゆえんであろう。だから幼児というものはよく動くのだ。動くことは幼児にとって成長の要求そのものだ。よく動くことによって人間としての芯であるコミュニケーションをとる力や共感や情感を獲得しているのだ。前頭前野が発達していくのだ。もしその時期に幼児の要求を長期に渡って束縛して、満足させられないとしたらどうなるのだろうか。
 

  また大脳基底核には「セロトニン神経系」もあり、その神経系も社会性、つまり「人づき合い」の能力の発達を促すセロトニンという物資を出す。それらの脳内物資は、母親とのスキンシップや友達との接触によって促され、調和が保たれて発達していく。乳幼児の脳は人間と関わり、甘えなくして育たないのだ。もしその時期に友達と戯れることを制約され、また子どもが母親の愛を実感できないとしたらどうなるのだろうか。テレビやテレビゲームづけになっていたとしたらどうなるのだろうか。

 その答えが戦後60年の日本の環境の激変であろう。母親にスキンシップされ、駄々こねしながらも多様な人々に受け止められ、また友達と体を戯れて遊ぶのが幼児の生活だった。現在日本は幼児からお稽古事がはじまっている。「3歳ではもう遅い」というキャンペーンがあり、英語の幼児教室もさかんだ。つまり自分の意思で自由に動くことをとめられた幼児の脳は、5感を使って感性をうけとめる体験をしなくなってしまった。テレビゲームなどの機器が一層それを加速させている。便利な生活の変貌がいっそう自然から解離した生活にさせていった。地域社会のつながりが希薄になってしまった。つまり人間としてのつき合い方や感情を学ぶ脳内物資が脳から出にくい生活になってしまった。よい学歴がよい生活を保障してくれると親達が思い込んで「子どものためによかれ」としていたことが、人間としての子どもの脳をダメにしていったのである。格差社会に移行していると言われ「脳の発達不全」の環境に置かれているのがいっそう深刻化している。とりわけ「前頭前野」の発達不全は人間としてコミュニケーションをとり、共感や情感をもつなどの人間らしい感情が育っていない状態にあることだ。これは私が現職で子ども達とともに生活していた時に一番感じていたことである。それが一層加速しているのを感じる。K子

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2006年3月17日 (金)

脳シリーズ2 生物としての男脳と男の子の心

 さらに悪化する子どもを育てる環境と脳の関係を「凶悪な事件が、なぜ少年に多いのか」と、脳の発達と環境の関係を考察してみた。

  人間は生物として進化してきた生き物である。自然の摂理として強い子孫を残さなければその種は滅びてしまう。そのため人間は「男脳」「女脳」を作り出していった。生物としての男脳と女脳の違いが男女の心の違いを生んだ。だから雄として男脳は攻撃的で活発である。女脳はいわゆる口達者は本当らしい。その過程は母の胎内である一定の段階に適切にテストステロンという男性ホリモンが分泌されて分かれる。胎内でそのホルモンが出る時期によってその性格はグラディーションである。男でもおとなしい、女でも活発といろいろできる。性器を作る物資はまた違う。しかし男女の差別のための脳ではなく、生物として種の保存の本能と役目が「男脳」「女脳」を作り出しているのは確かである。すでに胎内で男脳は男の心、女脳は女の心を持っている。だから男の子は雄として、生まれながらに一般に活発で攻撃的なのだ。女の子はそうでないのだ。脳は心だ。

  次に戦後60年の環境の変化が、胎内で獲得した男の子の脳にどう影響したのだろうか、凶悪な事件とどう関係あるのかを考えたい。K子

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2006年3月14日 (火)

脳シリーズ1 「少年事件」と「脳の発達不全」

   正木健雄先生の講演「戦後60年 子どもの体と心は今」
 ぼっとうに正木先生は「戦後60年、少年の脳が発達させられていない。」と言われ大変心を揺さぶられた。私はここ6年ほど前から脳に対して興味を持って勉強している。講演ではその答えをズバリ詳しく述べる時間が足りなかったそうです。次に教育者としての私なりの考えを述べたいと思う。

  子ども達の体と心のおかしさは1977年、NHKのテレビ放映で初めて知った。そして職場を良くしたり、よくわかる授業の研究したりだけでは十分でないことを知らされた。以来私なりに先生の本を読んだりして「社会という環境に中で生きて変わっていく子どもの実態」を見つめて、学校・学級実践に、また自分の子育てに生かしていった。
 先生の講演のまとめると、戦後60年、さまざまな子どもの体と心のおかしさは全部「脳」(前頭葉)の未発達であることが原因だということ、いよいよそのおかしさが少年犯罪の残虐さとして誰の目にもわかるようになってきたということをいろいろな資料で示された。その背景に高度経済成長という利潤を追求する社会が私達に便利さにおぼれさせ、子ども達から手足、遊びを奪い、テレビゲームなど機器におぼれさせ、子どもが育つ仲間も奪い、また受験競争に駆り立てていった背景を具体的な事実を示されながら話された。

 ここで簡単に脳の「前頭(ぜんとう)葉(よう)」の説明をしよう。人間のおでこのすぐ後ろに位置している前頭(ぜんとう)前野(ぜんや)が特に大切である。非常に大きく発達していて「人」が他の動物と違うのはここだと言われている。

 前頭前野大切な働きは、
○人の気持ちを推測する力がある  ○ものを覚える気持ちを出す  ○情愛や共感する力がある  ○コミュニケーションをとろうとする  ○頑張るぞという「やる気」を出す  ○やってはいけないことをしないという気持ちを出す・・人を言葉で傷つけるのも含む  ○悲しいことやくやしいことがあっても人前ではがまんできる  ○発明したり、新たにつくりだしたりする力を出す(発明・発見・音楽や絵画など芸術)  ○集中力(一つのことにうちこむ、また騒がしい教室で一人の友達の話をききとる事がができる力を出す)  ○人と違った考えを出せる  ○恥ずかしいという気持ちを出す
子どもに限っていうと
○人の話を聞く○本を読む○自分の考えを持つ○自分の意見が言えて、聞いて発表が
きる○テストで応用問題がすらすら解ける○スポーツが上手 
  こんな風に他の動物にできないことができるのは、前頭前野が非常に発達しているからだそうです。

  では、脳の「前頭前野」はどのようにして発達するのでしょうか。次回は脳のなかを見てみましょう。    k子

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